私的な読書感想文
2023-03-27
『がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方』
関本 剛 著、宝島社
本書は神戸市でがん患者の在宅ホスピスケアに取り組み、約1000人の
看取りに携わってきた医師のノンフィクションです。筆者は昨年4月に、
45歳の若さで逝去されました。
2020年に単行本が発刊され昨年文庫化されたのですが、その作品紹介文に
は「『運命』の受容と抵抗のノンフィクション」と綴られています。
それまで「看取る」側だった医師が末期がんの診断を下された時、その宣告
をどう「受容」し、そしてどう「抗う」のかが、克明に記されています。
文体も洗練されていて、当時の筆者自身の心情がとてもリアルに伝わり、
宣告を受けてからのご家族との関りの部分は、特に感銘を受けました。
筆者の生涯については昨年8月の神戸新聞のWEB版でも取り上げられて
おり、母であり同じ在宅クリニックの院長でもある関本雅子医師の「最期
は、医師として、親として、私を超えた」というインタビュー記事も非常
に印象的です。
YouTubeでは生前に撮った貴重なビデオメッセージも公開されていますが、
まずは本書を一読されることをお勧めします。必読の書です。
コスモス苑 介護課長